こうした言葉の積み重ねが、自己の価値観や行動の指針となり、ひいては人生の方向性を決めることさえある。一方で、そうした信頼する人々から期待とは異なる言葉をもらうこともある。それは決して悪意のあるものではなく、時には厳しい指摘であったり、想像とは違う視点からの意見であったりする。たとえば、「君は慎重すぎる」と言われれば、自分の慎重さが長所でもあり、時には短所にもなり得ることに気づかされる。こうしたフィードバックを真摯に受け止め、自分にとって必要なものを選び取り、成長の糧にすることができるかどうかが大切だ。
このように、他者からの言葉は私たちの自己認識を形成し、時には揺さぶる。しかし、それができるのは、自分がどのような人たちと関わっているかによる部分も大きい。人は環境の影響を強く受ける生き物であり、どのようなフィールドに身を置くかが、結果的に自分自身のエフィカシー（自己の能力や可能性に対する確信）を左右する。だからこそ、自分が身を置く環境には意識的になるべきだ。尊敬できる人、前向きな挑戦を続ける人、誠実に生きる人たちの中にいることで、自然と自分もその流れの中に入っていく。そして、彼らから受け取る言葉もまた、より良い方向へと自分を導いてくれる。
人は完全に独立して存在することはできない。他者との関わりの中で磨かれ、形成されていくものだ。そのため、自分がどのような関係性を築くか、誰と関わるかは、単なる人付き合いの問題ではなく、自分自身をどう成長させるかという視点で捉えるべきだ。言葉の影響力は侮れない。それを前向きに活かすためにも、自らが信頼できる人々に囲まれる努力をし、また自分自身もそういう存在であるように努めることが重要なのだろう。