片手間って意外と奥が深い?—気づけばみんな並行処理している

「〇〇の片手間に」といった話をたまに聞くことがありますが、この片手間について少し気になったことがあったので書いてみました。

片手間という言葉には、良い意味と悪い意味の両方があります。本業の合間を縫って何かをこなすという意味では、効率よく時間を使っているという肯定的な印象を与えることもあれば、「手を抜いている」「本気ではない」といった否定的な印象を持たれることもあります。この違いは、使う場面や相手の受け取り方次第で変わるのが面白いところです。

例えば、「仕事の片手間に資格を取得した」と聞けば、「忙しい中でも努力して偉いな」と思われるかもしれません。一方で、「片手間でお客様対応をしている」となると、「適当に扱われているのでは?」と感じる人もいるでしょう。同じ言葉でも、内容次第で評価が大きく変わるのです。

また、片手間には「複数のことを並行してこなす」という意味も含まれます。これは現代社会においては必要不可欠なスキルと言えるかもしれません。仕事をしながら情報収集をしたり、会議中に次の案件を整理したりと、効率を求めるほど何かを片手間にする場面は増えていきます。ただし、それが「手を抜いている」と捉えられないように、どのタスクにも一定の質を保つことが求められるのが難しいところです。

この「片手間」の考え方は、テニスのレッスンでも当てはまる部分があります。レッスン中に別のことをするという意味ではなく、指導しながらもお客様一人ひとりのプレーを観察し、どうすれば上達につながるかを同時に考え続けるということです。一見シンプルに見える球出しやアドバイスでも、実は頭の中ではさまざまな情報を処理しているのです。

皆様はテニスが本業ではないと思いますが、お仕事の片手間に(もしかしたら仕事が片手間?笑)、何かを同時進行しながらお見えになることもあるかと思います。責任がある立場に立つほど、また責任感が高ければ高い人ほど、いろいろなタスクを平行処理しなければならないものですよね。

レッスン中はもちろん片手間で何かをすることはありませんが、その時その時のお客様のテニスの調子を見ながら、脳内では「どうすれば良い方向にシフトするのか?」と常に考えています。片手間に見えることも、実は深く考えていることが多いかもしれませんね。