「人を呪わば穴二つ」という言葉が示すように、誰かを傷つけたり恨んだりすれば、その報いは自分自身にも返ってくる。この言葉の起源は明確ではないが、古くから世界中で似たような教えが存在する。心理学的に見ても、人を恨む気持ちや強い怒りはストレスホルモンの分泌を増やし、心身に悪影響を及ぼすことがわかっている。ネガティブな感情を長く持ち続けることで、脳の働きが低下し、冷静な判断ができなくなることもある。その結果、適切な行動を取ることができず、自ら運を悪くする選択をしてしまうのだ。また、周囲の人もその負のエネルギーを感じ取り、距離を置くようになる。結果として、孤独になったり、チャンスを逃したりと、悪循環に陥る可能性が高くなる。
一方で、「笑う門には福来る」という言葉の通り、笑顔が多い人には自然と幸福が訪れる。笑顔がもたらす効果は科学的にも証明されており、笑うことで脳内にエンドルフィンやセロトニンといった幸福ホルモンが分泌され、ストレスが軽減される。そして、その明るい雰囲気が周囲にも伝わり、良い人間関係が築かれていく。笑顔が素敵な人の周りには、人が集まり、ポジティブな出来事が自然と増えていく。仕事でもプライベートでも、明るい印象の人には協力者や応援者が多く現れるため、結果的に運が良くなるのは必然だ。
テニスで練習やゲームをしていた時に、相手のミスで喜んだり拍手をしたり、過剰に威嚇をしたり攻撃をしたりすることは、作戦としては、首を縦に振るのは難しいが、しばし存在する。悩んでいる仲間に対しても、良かれと思って辛辣な言葉を述べてしまう……。こういうことを直接的、間接的に見聞きすると、一つの方向性が見えてくる。
自分自身の選ぶ選択肢で「運が良かったり、良くなかったりする」ということだ。
こうして考えると、運の良し悪しは決して偶然ではなく、日々の言葉や行動の積み重ねによって決まるものだとわかる。人は知らず知らずのうちに、自らの未来を作り出しているのだ。だからこそ、自分の発する言葉や行動が周囲にどのような影響を与えているかを意識し、できるだけポジティブな方向に向かう選択をすることが大切だ。幸福を引き寄せるためには、まず自分自身の言葉や行動を整え、周囲に良い影響を与えられる人になることが必要だろう。その積み重ねが、最終的に運の良い人生を作るのではないだろうか。
だからこそ、テニスは紳士淑女のスポーツだと、そしてそうあるべきだと言われる所以なのかも知れない。