体温が高い方が健康寿命が伸びる可能性?

一昔前は(特に昭和生まれの人たちは…)人の前で37度を超えると(熱っぽい)と言われることがあり、病院に通う1つの基準だったと思う。しかし、最近の免疫学の観点からすると、実は(37度前後の方が免疫力が活性化される)といったエビデンスが過去の理論を覆した。

体温と免疫の関係は深く、(36.8〜37.5度)が最も免疫細胞の働きが活発になるとされている。例えば、(リンパ球)や(マクロファージ)といった免疫細胞は、体温が高めのときに活性化し、体内のウイルスや細菌を素早く処理する。この働きがあるため、適切な体温を維持することは、病気を未然に防ぐ大きなカギとなる。

また、(酵素の活性)という観点から見ても、体温が37度前後のときに最も代謝がスムーズに進む。酵素は、消化やエネルギー産生、細胞修復などを司る重要な働きをしているが、低体温(35〜36度台)になると活性が低下し、結果として免疫力も下がる。つまり、体温が適切な範囲にあることで、体内の代謝がスムーズに進み、健康維持につながる。

さらに、(ウイルスや細菌の増殖)は体温が低いほど活発になる。特にインフルエンザウイルスは低温で増殖しやすく、36度以下では免疫の働きが鈍くなり、感染リスクが高まる。一方で、(37度を超えると病原菌の増殖が抑えられる)ため、体の防御力が高まることがわかっている。実際に、風邪をひいたときに発熱するのは、体が意図的に温度を上げてウイルスと戦っている証拠でもある。

体温を高めに保つことのもう一つのメリットは、(血流の改善)である。体温が適正範囲にあると血管が広がり、血流が良くなることで免疫細胞が全身を巡りやすくなる。逆に、低体温だと血流が悪化し、必要な免疫細胞が感染箇所に到達しにくくなるため、体がウイルスや細菌に対処する能力が下がる。

では、(どのように理想の体温を維持するか)が重要になる。第一に、適度な運動をすることで(基礎体温を上げる)ことができる。筋肉量が増えると熱の産生が高まり、低体温になりにくくなる。また、食事面では(生姜、発酵食品、根菜類)などの温かい食材を摂取することが効果的だ。逆に、冷たい飲み物や食事は胃腸を冷やし、結果として体温を下げてしまうため、注意が必要である。

日常生活の習慣としては、(湯船に浸かる)ことも推奨される。40度程度のお湯に浸かることで血流が促進され、免疫細胞の活動が活発化する。また、(良質な睡眠)を確保することも重要で、睡眠が不足すると自律神経が乱れ、体温調整がうまくいかなくなる。

ただし、37.5度を超えると体への負担も増えるため注意が必要である。一時的な発熱であれば免疫が活発に働いている証拠だが、慢性的に高熱が続く場合は何らかの病気の可能性があるため、医師の診察を受けるべきだ。

高熱だった場合は、確かになんらかの処置が必要だが、(ある程度高い体温を維持することこそが、健康寿命を伸ばす究極の努力)なのかもしれない。