台湾には、「朝飯を食わないやつには金を貸すな」（早餐不吃，錢不借）というちょっとユニークな諺があります。一見すると、「朝ごはんを食べない人にはお金を貸してはいけない」という単純なルールのように思えますが、実はそこには人の信用や生活習慣に関する深い考え方が込められています。
朝ごはんは一日の始まりに欠かせないもの。規則正しく朝ごはんを食べる人は、生活リズムが整っていて、自己管理がしっかりしていると考えられます。そんな人は約束を守ることにもきっと真面目で、信用できる可能性が高い。一方で、朝ごはんを抜くことが多い人は、もしかすると時間にルーズだったり、計画性に欠けていたりするかもしれません。そんな人にお金を貸してしまうと、返済をおろそかにされたり、頼りなく感じることがあるかもしれない…そんな昔ながらの教えが、この言葉の背景にあるのです。
特に、台湾の商人文化では「信用」が何より大切にされてきました。お金の貸し借りに限らず、商売をするうえで相手が信頼できるかどうかを見極めることは、とても重要です。その判断基準のひとつとして、「日々の生活習慣を見る」という考え方があったのでしょう。朝ごはんをしっかりとる人は、仕事にも誠実で、約束をきちんと守る――そんな風に見られていたのかもしれません。
もちろん、現代では朝食を抜く人にもさまざまな事情がありますし、「朝食を食べない＝信用できない」というわけではありません。でも、この諺が伝えようとしているのは、「小さな習慣が、その人の性格や信頼性を表すことがある」ということなのではないでしょうか。毎日の行動や生活リズムが、人との関係や信頼を築く土台になる。そう考えると、この言葉には今でも通じるものがあるように思います。
では、「朝飯を食わない人とはテニスをするな」は当てはまるのでしょうか？
日々精進。