The Essence of Harmony!東洋医学が教える Balance and Growth in Tennis

テニスの上達について考えるとき、東洋医学と西洋医学の考え方がヒントになることがあります。東洋医学は、体全体の調和や根本原因に目を向けるアプローチで、一方の西洋医学は問題を分けて具体的に解決する力に長けています。

この違いが、実はテニスの練習や指導に通じる部分があるのです。

最近、海外でも東洋医学の必要性が注目されています。その背景には、西洋医学だけでは対応が難しい慢性的な不調やストレスの問題があるからです。特にアスリートにとっては、ただ技術を磨くだけでなく、体と心のバランスを整え、長くパフォーマンスを維持するための包括的な視点が欠かせないという考え方が広まっています。テニスでも同じで、技術だけでなく、土台となる体や心を整えることが上達に直結します。

「テニスはメンタルのスポーツ」とよく言われますが、それだけでもありません。実際には、メンタル・フィジカル・技術のすべてが影響し合い、生徒および選手のプレーを形作ります。

ただ、どうしても技術に集中しすぎてしまうことがありますよね。例えば、フォームを完璧にしようとして肩を痛めてしまったり、うまくいかないことでストレスがたまり、結果として試合で自分の力を発揮できないこともある。こういう失敗を避けるためには、全体を見渡す視点、つまり体全体の調和を意識し、長い目で見て進んでいくことが大事です。

それに、指導者としての役割も深く考えたいところです。ただ正論を伝えるだけでは、生徒がそれを本当に理解して動けるようになるとは限りません。科学的な研究でも、人は感情的なつながりを感じたときに記憶や学習が深まることが示されています。ただ「これが正しいからやれ」と言うのではなく、「どうしてそれが大事なのか」を生徒自身が納得し、自分の目標や感覚と結びつけられるような伝え方が必要です。それこそ、東洋医学が重視する「個々の特性を尊重する」考え方に通じます。生徒一人ひとりの違いを認め、その人に合った指導をすることで、初めて深い理解や効果が得られるんです。

また、指導者自身も柔軟な姿勢が求められます。全員に同じやり方が通用するわけじゃないですし、生徒が自分で気づけるような「場」を提供することこそが、長期的な成長につながります。それはまさに東洋医学が言う「自然治癒力を引き出す」アプローチに似ています。生徒が自分で「これだ」と感覚をつかむ力を育てる。それが本当に必要な指導ではないでしょうか。

結局のところ、技術だけにとらわれず、体全体、心、そしてその人が置かれている環境までをトータルで考えたアプローチが、テニスをより楽しむ鍵だと思います。そして指導者も、知識や理論を押し付けるのではなく、生徒が自分自身で学び、気づきを得られるようなサポート役に徹することが大事です。それが結果的に、テニスというスポーツを通じてもっと豊かな経験を生むんじゃないかと感じます。