ただの食事ではない、一緒にいる人々がその時間を特別なものに変える瞬間がある。それは、個として自分を高めることを意識し続ける人たちと過ごすときに生まれるものだ。自分の世界を磨き、広げ、深める努力を惜しまない人たち。その存在が、食卓に並ぶ料理の味までもを変えてしまう。
先日、そんな人たちと一緒に食事をする機会があった。料理の話に花が咲くというよりも、それを囲む人々のエネルギーや雰囲気が料理そのものを引き立てていた。おいしい料理がさらにおいしく感じられるのは、一緒にいる人の存在の大きさによるのだと改めて実感した。口に入れた瞬間の「おいしい」という感覚が、ただの感想ではなく深い満足感へと変わる。それは、共にいる人たちが、その料理が生まれる背景や作り手の思いにまで想像を巡らせる余裕を持っているからだ。
さらに、この特別な時間を可能にしているのは、料理を提供するお店の存在でもある。その場で食べた料理は、どれも見事な完成度だった。素材の一つひとつが活かされ、余計なものがそぎ落とされたシンプルさの中に、作り手の確固たる意志が感じられる。そして、そのお店の人々もまた、料理を追求し続ける個としてのエフィカシーの高さを持ち合わせていた。カウンター越しに見える手際の良さや、客一人ひとりへの気遣い。それらが、その場に流れる空気をさらに引き締め、全体の調和を作り出している。
私がそのとき感じたのは、ただ「おいしい」だけでは語り尽くせない感覚だった。食材が新鮮だとか、味付けが絶妙だとか、それ以上に、料理が持つ力を引き出す人々の存在がその味を深めているのだ。そして、その料理を囲む人々の姿勢や会話が、さらにその時間を彩る。
話の内容は、何気ないものだった。普段の出来事、ふとした気づき、時に自分たちの挑戦について触れることもあった。それでも、そこに緊張感や威圧感はなく、むしろ互いの歩んできた道を静かに尊重し合う空気が流れていた。その中で感じたのは、時間の経過を忘れるほどの心地よさ。人生で初めて、「時間が経つのが早い」と思うと同時に、自分がリラックスしすぎて寝てしまったのではないかと振り返るほどだった。
誰と食べるか。それは、食事の味を決める大切な要素だ。そして、その誰かが、料理を追求し続けるお店の人々のように、自分自身を磨き続けているならば、そこにいるだけで得られる学びや刺激がある。料理の味はおいしいだけではなく、共に過ごす時間と空間が、さらなる価値を加える。
これから先、ただ食べるだけではない「食べる時間」を大切にしたいと思う。誰と何を話すのか、どのような空間で過ごすのか。すべてが絡み合い、一つの美しい体験となる。
こう言う場面を大切に生きたいと感じてやまない一日だった！