自分発信の大切さ

先日、低年齢の子供たちとテニスをした。教えるとは何か?これは非常に難しい問題である。

伝えた側が「教えたのにできていない」と言うのは簡単だ。しかし、それって少し違うんじゃないかな?と思う時がある。

僕は夢中になれるかどうかを導くこと、いやいや、そんな大袈裟なものではない。気がついたら「自発的に」没頭してしまっている状態が特に大切だと思う。

ある世界的に有名なプロ選手のチームにいてメンタルトレーナーをしていたコーチがいた。彼女自身もグランドスラムの本戦で勝利した経験もある。ラテン系の彼女がこの年齢の子達を指導するときには「パッション」が必要だと言うことと「否定をしない」と言うことを僕に教えてくれた。ジュニア選手たちのメンタルトレーニングの講義でも、このことを熱く語っていた。

球出しは大切だ。ラリーも大切だ。サーブも大切だ。しかし、何度も繰り返し動作を行うことは大人でも見て見ぬ振りをして投げ出したくなる。サーブの練習や単調な球出し練習を思い返して見ると良いだろう。

そんな時、全てジュニアの子発信でボールを打ってもらった。子供は特に楽しいことに夢中になるとひたすら没入して、時が流れるのを忘れた如く繰り返し行う。ゲームをやめない子が多いのはこれが理由だろう。

スポーツにおいて繰り返し動作を行うことは、コントローラーを巧みに操ることができる可能性と同義だ。ひたすら飽きる手前までメニューを繰り返す。できたら褒めて、できなくても出来るようになりそうだと言うことを示唆する。そしてその間に言葉を投げかけてくる子たちに必ず耳を傾ける。終わりのタイミングも子供たちに決めさせる。

自発的な発信が大切だということを改めて感じた瞬間だった。教えることは一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションで成り立つ。子供たちが自分から行動し、考え、発信することが、学びの本質なのだと思う。

次回のレッスンでは、さらにこの考えを取り入れてみようと思う。子供たちが自分自身で問題を見つけ、解決策を考えるプロセスをサポートする。その過程で、彼らが楽しみながら成長できる環境を作ることが、僕たちコーチの役割なのだと強く感じた。

テニスの技術を教えるだけでなく、自発的に学び、考える力を育むことが、本当に大切な教育だと思う。この経験を通じて、改めて自分発信の大切さを実感し、これからも子供たちと共に成長していきたいと思う。

彼女の教えを胸に、今日もまたコートに立つ。子供たちの目が輝く瞬間を見逃さないように、彼らの「自発的な発信」を引き出すための工夫を続けていきたい。

このようにして、教えることの本質を探求し続ける毎日が続く。スポーツを通じて、子供たちの成長を見守り、支えることができる喜びを、これからも感じ続けたいと思う。