コーチの「みる力」の重要性

世の中には、凡人コーチや元有名選手として知られるコーチ、普通のコーチといったさまざまなコーチが存在します。

特にテニススクールでは、初中級や中級の親御さんの子や、戦績のないコーチの教え子が全国大会に進出したり、地域の大会で良い成績をおさめたり、有名選手を輩出したりするのかを考えたことはありますか?

その成功の要因の一つには、個人のエゴなどの感情を切り離せているかどうかが重要です。

しかし、最も重要なのは「みる力」を持っているかどうかです。ここで、「観る」「視る」「見る」の3つの違いとその必要性について説明します。


①観る

「観る」とは、全体を俯瞰し、状況全体を理解する能力を指します。

これは、コーチが選手のプレースタイルや試合全体の流れを把握するために必要です。

観る力を持つコーチは、選手がどのような状況でどのような行動を取るべきかを的確に指示できます。

この視点がなければ、選手は全体像を見失い、適切な戦略を立てることが難しくなります。



②視る


「視る」とは、特定の動作や技術を詳細に分析する能力を指します。これは、選手のフォームや技術の細部に目を向け、その改善点を見つけるために重要です。

視る力を持つコーチは、選手の技術的なミスを的確に指摘し、修正するための具体的なアドバイスを提供できます。この力がなければ、選手は技術的な向上が遅れ、成長が阻まれてしまいます。


③見る

「見る」とは、選手の心理状態やモチベーションを観察する能力を指します。

選手がどのような気持ちでプレーしているのか、どのようなモチベーションが必要なのかを理解することが求められます。

見る力を持つコーチは、選手が困難な状況に直面したときに必要なサポートや励ましを提供し、前向きなマインドセットを維持させることができます。

この力がなければ、選手は精神的に追い詰められ、パフォーマンスが低下してしまいます。



多くの人は、合う合わないではなく、好き嫌いでコーチを判断しがちですが、今の自分に何が必要かを見極めることが重要です。

ゲームでうまくいかないからといって、過剰に技術に走るのではなく、前向きになれるモチベーションを提供することが必要です。

根本的な技術が足りていない場合は別ですが、練習中にうまくいくことも多く、ストレスの少ない状況でうまくいく場合は、確実にメンタル的な要素が重要になります。

心の状態が重要であり、心拍数が上がり、テンションが上がり、ポジティブな声掛けがあって初めて正しい技術を習得することができます。

その上でコーチの3つの「みる力」が必要となってきます。

技術練習にこだわる人をコートでよく見かけますが、オープンスキルのテニスにおいては、技術だけを練習していても上手くなりません。

意識の上でポジティブマインドに変わる必要があります。もちろん、ネガティブを受け入れた上での前向きな姿勢と行動が求められます。

少しずつ結果が出てくると、多くの著名なコーチが言うように、タイミングの良い橋渡しが必要になります。

しかし、多くの場合、橋を渡る前にやるべきことが混在しているにもかかわらず、橋を渡ろうとしてしまうことが問題です。

結局のところ、コーチの成功は「観る」「視る」「見る」の3つの「みる力」によって決まります。これらの力を持つコーチは、選手を正しく導き、最高のパフォーマンスを引き出すことができるのです。