20年コーチが語る、テニスより大切なこと

先日、長年のコーチ生活を振り返りながら、「やっぱり上手くなる子ってこういうタイプなんだなぁ」としみじみと実感しました。

これまで多くの生徒さんとテニスをさせて頂いていますが、特に一人の選手の成長と人間性が、僕の中で深く印象に残っています。


彼はテニスの技術面ではずば抜けており、私自身も彼との1ゲームを取ることが精一杯でした。

そんな彼がある日、最近、真面目に取り組むようになった別の生徒に、サーブについてのアドバイスを求められました。

彼はさりげなく一言アドバイスをし、その選手が「サーブって難しいんだよね」と伝えると、「そうなんだよね。俺も苦労したんだよね…」とまるで昨日のことのように等身大で返答しました。

この出来事は、多くのことを僕に再確認させてくれました。

通常、自分が上手いと感じたら、その態度が言葉や行動に僅かながらでも出やすいものです。

しかし、彼は全く異なるアプローチを取りました。

彼の一言には、他者を見下すような差別や区別を生むものではなく、純粋に助けを求める者への共感と支援の意志が込められていました。

僕がコーチとして接する上で、言葉遣いにはその人との関係性を維持しつつ常に気をつけていますが、彼のように自然体で、ありのままの反応ができることの大切さを改めて感じさせられました。

彼の人間性の高さと、自己との向き合い方のエフィカシーは、まさに模範となるべきものです。

彼のこの姿勢は、テニススキルの向上だけでなく、人としての成長にも密接に関わっています。

テニスコーチとして、テクニックや戦術の指導も大切ですが、選手の人間性や内面の成長に目を向けることの重要性を、彼は体現してくれています。

また、彼の存在は、僕自身が学ぶべき点がまだまだ多いことを示しています。

彼のように、常に明るく、周囲を鼓舞する人物は、そのマインドセットが明るい空気を生み出し、周りから頼られる存在となっています。

このことから、大人になっても人間性の「生臭さ」を隠さずに、葛藤しながらエフィカシーの高い自然体でになることの価値を学びました。

僕は彼の姿勢を見習い、さらに学び、成長していきたいと強く感じました。

そして、彼と共にテニスのフィールドで精進し、それぞれの目標を目指しつつ、高め合いながら前進していきたいと密かに願っています。笑

テニススキルの向上だけではなく、人としてどうありたいか、どうあるべきかを考え、模索し続けることが、全ての人の共通の目標ではないでしょうか。

この20年のコーチ生活を通じて得た教訓と、彼から再び学んだ多くの価値観は、これからも僕の哲学の中核の1つをなすものです。

テニスコートはただのプレイの場ではなく、人生の教室でもあります。ここで学んだことは、テニスの技術を超えて、人生においても役立つものになることでしょう。

最後に、常に新たな学びがあり、それが僕のコーチとしての糧となっています。彼のように、これからもテニスを通じて成長し続け、さらに多くの選手たちに影響を与えていきたいと思います。