まず、テニスの上達において「絶対数を打つ」という基本的な作業は避けて通れません。
どんな技術も反復によって基礎が築かれ、その基礎の上に新たな技術や応用が積み重なっていくからです。絶対数を打つことによってフォームが整い、感覚が研ぎ澄まされ、次第に正確な動きが自然と身についてきます。
しかし、その「絶対数を打つ」ことがただの作業になってしまうと、練習の本質を見失ってしまう危険性があります。
ただやっているだけの練習、つまり「こなしている」という感覚では、上達を実感するのが難しいかもしれません。
自己成長の実感が得られないと、モチベーションが低下し、最終的には「なぜ練習しているのか」という疑問が頭をよぎることもあるでしょう。
そうなると、せっかくの努力が無意味に感じられ、テニス自体への情熱が薄れてしまうかもしれません。
一方で、ボールを打っているその瞬間が「楽しい」と感じられると、練習の効果は格段に向上します。
楽しいと感じられる瞬間が多ければ多いほど、自然と体がリラックスし、余計な力が抜けてスムーズな動きが生まれます。
この「楽しさ」は、上達への道を切り開く鍵と言えるでしょう。楽しんでいると、回数や時間を気にせずに続けられ、気づけば技術が磨かれているものです。
また、テニスにおいて自己中心的な考え方が強くなりすぎると、練習自体が孤独なものに変わりがちです。例えば、自分の成果だけに目を向けてしまい、他人との関係や共に練習する仲間の存在を忘れると、練習そのものの楽しさが薄れていきます。
逆に、仲間と励まし合い、切磋琢磨することで、互いに成長を促し合う環境が作られます。他者との関わりがあることで、自分の弱点や改善点にも気づきやすくなり、自然と向上心が湧いてくるのです。
また、ただ数をこなすのではなく、その中に少しでも新たな発見や喜びを見出すことができると、練習はさらに意義深いものになります。上達を焦らず、楽しみながら一歩ずつ進むことが大切です。こうした姿勢を持って練習に取り組むことで、やがて自分の技術や心の成長に気づき、さらなるモチベーションを得ることができるでしょう。
最終的に、ボールを絶対数打つことは基礎の一環として必要ですが、その先に「楽しさ」や「充実感」を見出せるかが、上達のための大きなポイントとなります。楽しさを感じながら練習できる人ほど、テニスを続け、技術を磨き、深く自分と向き合っていくことができるのです。