体験してこそ伝わる、本当に好きなものの力

日本秘湯を守る会、乃木希典の愛した温泉…、自分のお気に入りのアナザースカイを長らく愛用されていた方が声をかけてくださった時に体験することの大切さと、好きであることの重要さを改めて感じることができました。

その方が語る温泉の魅力には、ただの情報や効能の説明以上のものがありました。その温泉地でどのように過ごし、どんな景色を見て、どのように心や体が癒されたのか――話を聞く以前にそれにまつわる単語やただただ昔の話を聞いているだけで、その場の空気や湯の感触が伝わってくるようでした。

本当に好きだからこそ湧き出る情熱と、実際に体験しているからこそわかる深い感覚。それらが言葉を通じて心に響き、「自分も体験してみたい」という気持ちを引き出してくれるのです。

温泉はまさに、「体験してこそわかるもの」の代表例です。その土地特有の成分が体に染み渡り、湯船に浸かった瞬間のほっとする感覚や、周囲の自然が作り出す静寂。それらは言葉や写真では伝えきれないものです。さらに、その魅力を語る人の「好き」という気持ちが加わることで、聞き手にもその価値が倍増して伝わります。本当に好きなものだからこそ、ただ伝えるのではなく、自分の経験と感情が重なった説得力があるのです。

この「体験することの大切さ」と「好きであることの力」は、テニスにも通じるものがあります。テニスもまた、実際にラケットを握り、ボールを打ち、体を動かしてみないと、その楽しさを本当には理解できません。初心者が初めてボールを打ち返せたときの喜びや、ラリーが続いたときの達成感、ゲームで良いポイントが取れた瞬間の充実感――それらは、プレーすることでしか得られない体験です。

そして、コーチのポジティブなエネルギーと声!

また、テニスが好きな人が語るその楽しさにも特別な力があります。試合中に感じる緊張感と興奮、練習での小さな成長の喜び、仲間との絆――そうした感情を持って語る言葉には、聞く人の心を動かす力があります。技術や理論だけでなく、そこに込められた「好き」という気持ちが伝わるからこそ、「やってみたい」「もっと知りたい」と思う人が増えるのです。

私自身、指導者として「体験する場」を提供し、テニスの楽しさを伝えることの重要性を強く感じています。たとえば、初心者には、まずは自由にボールを打つ楽しさを体験してもらうことを大切にしています。その後で基礎技術や戦術を学びながら、自分自身のペースでテニスを好きになってもらえればと考えています。そして、私自身がテニスを本当に好きでいること、そしてその「好き」という気持ちを伝えることが、指導者としての役割の一つだと思っています。

温泉と同じように、テニスもまた、体験して初めてわかる魅力があり、好きな人の情熱が伝わることでさらにその価値が広がります。「体験することの大切さ」と「好きであることの力」を意識しながら、これからもテニスを通じて多くの人にその素晴らしさを届けていきたいと感じています。そして、誰かにとってテニスが特別な「アナザースカイ」となるような場を作っていきたいと願っています。