あるジュニアの成長とコーチのこだわり

日本全国に、いや、世界各国に様々な海外へのインストラクターがいると思います。

そして、それぞれのコーチングに対する想いや経験からくる価値観の違いや修正、積み重ねが「指導法」として生徒に伝えられます。


そんな中、僕が1番気にかけていることは「球の質」です。

「球質」とは、ボールがどのようなスピンや速度、弾道を持っているかを指します。

スピンにはトップスピンやスライス、フラットがありますが、それぞれに適した技術と意図があります。

例えば、トップスピンは高い弾道から急激に落ちる特性を持ち、相手のミスを誘発しやすくなります。

一方、フラットショットは速いスピードで直線的に進み、相手に反応する時間を与えません。

球質はただ力任せに打つのではなく、ボールに無駄なくパワーを伝えることとその技術の本質を感じ続けてコツをつかむことが重要です。

そして、これが究極に難しいとされるのはどれだけ指導者が伝えたとしても「本人の感覚のみ」に帰結するからです。


球質は一朝一夕で向上するものでもなければ、センスと言う言葉で片付けられるものでもありません。

しかし一方でただただ意図もなく「馬鹿打ち/ハゲ打ち」すれば良い訳でもありません。

テニスはオープンスキルであり、ラリーのスポーツであり、ゲームを楽しむものだと言う考えが根底になければなりません。

こんな話をしていると「選手レベルでしょ?」と思われるかも知れませんが、「趣味レベル」だからこそ追い求めることにその本当の愉しみ方があるに違いないと個人的に強く思います。

スピンにしてもフラットにしてもスライスにしても「球質」は重要であり1番初めに質を高めるための「基礎」を体得しなければなりません。

「化ける人」については以前ブログで少し触れましたが、もしあるレベルから一気に駆け上がる人がいるのであればこの「質」が大きく関係してくるのです。

あまり言葉にすることはありませんでしたが、ここ数年普通に通ってくれている子の成長を目の当たりにした時に少し言葉に残してみたいと思いました。

考えすぎてしまうと、どこか他人に強制してしまう力が働くので(そうなると、面白くなくなってしまう、面白くなくなってしまえば、向上心も阻害されてしまうので)楽しさを伝える、奥深さを伝えることに常日頃はフォーカスしています。

ただし、自分の中での「視る」はこの点に常にフォーカスしていることを再認識しました。

口にするととても簡単なのですがこの過程では大きな苦労が存在します。

それは殆どこの領域に到達するまでは表面的には「ミス」としてしか捉えられないからです。

そのため生徒自身にも本人の「忍耐力」と「折れない心」が求められます。

彼女の場合はこれを含めて「ひたむきさ」があったからこそなし得たのだと感じました。

ボール拾いは勿論ですが上手くいかなくても真剣にボールを打つ、タイミングが合わなくてもボールを打ちたいと言う姿勢を崩さない、どのタイミングで話しかけても不貞腐れない!

あとはどんなに自分が上手く行かなくても周りとの調和を乱さない点が突出した長所だと思いました。

ひたすら球出しのボールを打って、コーチとラリーをしてごくたまに試合に出てみて、腐らずに続けて、自分の中に「道」を見出す。

大人でもこれは難しいかも知れません。
少なくとも僕は生徒側の立場に立ってこれができる自信がありません、笑。

勿論、ここからも色んなフェイズがありますが球質の「基礎」ができれば未来は明るいと思います。

この点は生涯かけてブレずに突き詰めて行きたいと思います。