情報化社会の中で生きる私たちは、過去の経済的成長の速さを情報の流通速度に置き換え、日々を急ぎ足で過ごしています。
このような社会において、私たちは何を求め、何を失っているのでしょうか？
かつての日本人は、物質的な豊かさと社会的な昇進を求めて、忙しい生活を送っていました。
今日では、その物質的な追求は一段落し、代わりに情報と知識への渇望が私たちを突き動かしています。
しかし、この情報の追求が私たちに真の満足や幸福をもたらしているのかというと、答えは必ずしも肯定的ではありません。
私たちは日々、LINE、メール、SNS、オンラインゲーム、ニュースサイトなどから絶え間なく流れる情報に晒され、その全てを処理しようとするあまり、時には重要なことから目を逸らしてしまうこともあります。
この情報過多が精神的な健康に及ぼす影響は計り知れず、ストレス、不安、そして過労が常態化しています。
精神医学の研究では、情報過負荷が認知機能に負担をかけ、集中力の低下、記憶障害、さらには判断力の劣化をもたらすことが示されています。
これは、情報を効率的に処理することが生存戦略とされている現代において、逆に生存の質を損なう原因にもなっています。
情報の海を泳ぎ切るための能力は確かに重要ですが、それによって得られる成果が本当に私たちの生活の質を向上させるものなのか、その点を常に自問自答する必要があります。
気がつけばスマホの画面でLINEやInstagram、YouTubeをなんとなく見ていると言った記憶はないでしょうか？
速さや効率だけが評価される社会では、深く考える時間や静かに過ごす時間が失われがちです。
だからこそ、「スローライフ」や「ワークライフバランス」を重視する動きが見られるのだと思います。
これは、単に遅く生活するという意味ではなく、質の高い生活を送るために必要な時間を確保し、自分自身と向き合うための時間を持つことを意味します。
スローライフを具体的に実践するには、自然に触れる時間を増やし、地元の食材を使った料理に時間をかけ、家族や友人との食事を大切にすることが挙げられます。
趣味に全力で興じるのも良いでしょう。
一方で、ワークライフバランスを実現するためには、仕事の時間を厳密に管理し、定時で退社する文化を促進するとともに、趣味や休息の時間を充実させるための方策を講じることが重要です。
歴史を振り返ると、人間が大切にしてきたのはコミュニケーションとつながりです。
家族や友人との深い関係、コミュニティとの連帯感、自分自身の内面との対話、これらは時間をかけて育まれるものです。
デジタルデバイスやインターネットがもたらす即時性や便利さは、これらの時間を奪う可能性があります。
最終的に、私たちが追求すべきは、情報を効率的に処理することではなく、情報を選択し、どの情報が自分にとって価値があるかを見極めることです。
そして、その情報を使って、より豊かな人間関係を築き、自己理解を深め、充実した生活を送ることです。
情報社会においては、情報の選択という新たなスキルが求められています。
これは、単に情報を処理するのではなく、情報によって生活が豊かになるようにそれを活用することを意味します。
「多い情報そんなに処理して何がしたい？」という問いは、私たちにとって非常に重要な反省点を提供します。
情報は単なる手段であって、目的ではありません。
真に大切なことは、その情報をどのように生活に活かし、どのようにして人生を豊かにするかです。
情報化社会の中で生きる私たちにとって、この問いに答えを出すことが、これからの時代を生き抜く鍵となるでしょう。
テニスも同じ、技術の上達や試合の勝利以前に「楽しく」できているか？そして「愉しく」できているか、どんなプロの選手もここからスタートしています。