本当に生きるための哲学

誰かの本を読んでいた時に、参考文献として出ていた先生の本です。

とても物腰が柔らかく知的さをひけらかすことなく、自然と心に入ってくるような素敵な文章でした。

タイトルは、少し心が病んでいるような人が読むようなタイトルに思えますが、心理学や脳科学のルーツとなる古代の哲学書を読まれているため、論理的な構成になっています。

彼女自身、とても品性が高く、他人に考え方を押し付けるような雰囲気もなく、例えばアリストテレスについての考え方を軸に、当時の時代、背景を踏まえながら諭すように語っている点にも強く共感を覚えました。

結局のところ、思想書や哲学書は本書に出てくるような古典がルーツになっていて、その本質を理解できなければ学んだことにはならないと個人的には思います。

だからといって、ギリシャ語で読む、英語で読むのは困難です。

そういった人に向けられた、または少し自信がなかったり、他人の意見を聞き入れないような人が読むための本だと感じました。


最後の方で明らかになってきたのですが、もともとは学習院の授業で使われていたテキストを編集者の方がお願いして発刊に至ったと言う経緯を知った時に全ての文章の心地よさが腑に落ちました。


ぜひとも読んでいただきたい非常にためになる本です!