ネグリ、日本と向き合う

アントニオネグリが東日本大震災後に日本に訪れたときに、彼らは独自の視点で日本をどう見たのか?と言う事を中心に書かれている。

また有名な社会学者の先生たちが、彼の考え方について独自の見解で意見を述べているところが興味深いです。

著者はイタリアの政治、哲学者、活動家であり、テロ事件に関わった容疑で不当に逮捕、投獄された過去を持ちます。

現に1度、来日する際に、日本から理不尽にも入国を許されませんでした。


この本は、私自身が「大澤真幸先生」を好むようになり、大先生である(勝手に浸水している)方が教えてくださったのがきっかけです。

①東アジアの中の日本と向き合う。

② 3.11後の日本と向き合う。

③原発危機からアベノミクスまで日本の現在と向き合う

3部構成で話が進んでいきます。


正直、私自身も、社会情勢を知ったところで、何も変えることができないですし、学校の教科書的な事実の羅列があり、退屈するのではないかと。不躾にも元は考えつつ本を読み進め始めました。


彼は考える日本の考察について、諸先生方が紐解いて解説を加えているので、次第に興味深い内容になってきました。

とどのつまり「なぜ今の日本がこの状態にあるのか」と言うことをあらゆる角度から述べています。


特にドイツやイタリアが脱原発に成功したのに、なぜ日本が成功できないのか?
利権関係はもちろんのことですが、日本の国自体の存続、いや、全体性を考えていくと納得せざるものがありました。

もっと身近に面白かったものは「民主主義」のあり方について言及していて、今の日本の民主主義は社会主義と変わらない、もしかすると、社会主義の方がより安定した生活を送れるのではないか?

また、株式会社のあり方は、社会主義的側面を内包していると言う考え方についてはとても共感せざるをえませんでした。

なんのこと?と思われる方も多いと思いますが。
例えば有給があるとしてでも思った時に言えない空気があったり、理論上はできたとしても、実際に休むことができない、休む日を選ばなければならない、また帰りたいタイミングで雰囲気的に買えない…かなり曲解になるかもしれませんが、なぜ中国が成功してきているのかと言うことからも実に興味深い内容でした。


ミクロな視点から、マクロな視点まで、とにかくある程度想像豊かな人であれば、この本を読むことで、身の回りの現実問題に置き換えて楽しむことができると思います。

それにしても、きちんと文章が書かれていたため、820円で読めるのですから、かなりお得です。

読みやすい本の2倍から3倍は内容が充実しています。

個人的には1500円位で販売しても良いと思うほどの内容でした。

よろしければ!